モンゴル研究会

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会報『ツェツェック ノーリン ドゴイラン ЦЭЦЭГ НУУРЫН ДУГУЙЛАН』№6

 会報、web版『ツェツェックノーリンドゴイラン』では会員の皆さんの文章を掲載しています。今後、紙版も復刊していく予定です。web版 第6号は、”日本のなかのモンゴルを訪ねて”➀です。


”日本のなかのモンゴルを訪ねて”➀

アジア博物館・井上靖記念館

ノミン(ペンネーム) 

 

 2021年コロナ渦の夏、山陰地方を旅した。古いカーナビが高速道路の延長を知らず、降りそこなって目的地を通過してしまい、慌てて新たな行き先を探し魅惑的な名前を見つけた。「アジア博物館・井上靖記念館」。日本海を右手に弓ヶ浜半島の松林沿いの広い道路を進むと、それはあった。
 立派な長屋門をくぐり、豊かな植栽の庭園(後で「染料繊維植物園」であることを知った)の向こうに純和風の建物がいくつか並んでいた。先ずは、「染織工房」。織機が多数、織物が出来るまでの工程のあらゆる機具が並んでいた。紙版の説明が横にあるだけだったが、私はここで初めて藍染めと絣の文様がどのように紡ぎだされるのかを理解した。次の建物へ。「絣館」、ここで、絣というのは普段着の織物という私の認識は砕かれた。何と優雅なものか、各地から集められた絣に目を見張る。次の「波斯錦館」ではペイズリー文様の話と波斯錦の豪奢さに圧倒され、さてお目当ての「蒙古館」へ。
 モンゴルの彫刻家が制作した立派なゲル車が出迎えてくれた。衣服や楽器、ひとつひとつの展示が美しい。しかし、私が最も驚いたのは、吹き抜けの二階の回廊の展示で、模造紙に書かれた第2次世界大戦前、戦中、モンゴルと関わった日本人の紹介だった。「これほど多くの日本人が・・・」と無知な自分を恥じる。きっとこの時代の生き証人の誰かがこれを書いたのだと思い、最後の机に置かれたノートに目を遣ると、それは春日行雄さんの日誌のようだった。何気に開かれた最後のページ。ノートを手に取って読むこともできる。驚きそのまま「蒙古館」を出、ちょっと上の空で「井上靖記念館」の井上靖の書斎や応接間の再現を通過し、屋外展示の巨大なゲルに入った。薄暗い広いゲル内をよく見ようとゲルの中央に向かって、カビ臭の注意が喚起された。そうそう「臭いはしますが大丈夫です」と受付の人が言っていた。アレルギー体質だったことを思い出し、慌てて外へ出た。残念。日本で、しかも冬場降雨量の多いこの地方で、この巨大なゲルを健やかに保つことの大変さが思われた。
 入館料たったの500円。受付の人と、井上靖記念館の書籍売り場で応対してくれた人以外に誰にも出会わなかった。館の維持が懸念される。多くの人に訪れてもらいたいと願う。 再訪を誓って「アジア博物館・井上靖記念館」を後にした。


以下、「米子観光ガイド」の「アジア博物館・井上靖記念館」についての情報です。
所在地:鳥取県米子市大篠津57番地
電話:0859-25-1251
休み:月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)
営業時間:9:00~17:00
料金:大人:500円(400円) 高大学生:300円(200円) 小中学生:200円(150円) ※( )は20名様以上の団体料金
駐車場:大型駐車場完備
アクセス:米子駅から車で25分 境港駅から車で15分 


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